鬼守の巫女
「どうしてこの場に居るのか……そう聞きたい様だな?」
そう言って朧源はクスリと吐息を漏らすと、首を傾げて私を見つめた。
それに答えないまま茫然と彼を見つめていると、朧源は静かに私に近付いて来る。
「まさか私には何の力も無いと思っていたのか?総本家当主である……この私が」
朧源はそう言って自嘲気味に笑うと、私の目の前に立つ。
「あの稔の式神。あれと似た様な能力が私にはある。それはお前だけにしか使えない能力だがな」
「……私に……だけ」
小さく呟き、目の前の彼の存在に怯える様に一歩後ずさると、朧源は深く頷いて口を開いた。