鬼守の巫女
「お前は私の期待以上の巫女だ。この計画はお前とあの鬼無くしては実らない。一つ違えばお前はあの鬼に殺され、この一族は滅んでいたかもしれない。しかしお前は今ここに居る。私の望んだ通りに……お前は今確かにここに居る」
朧源はそう言うと、静かに笑った。
その笑みはどこか悲しく、儚く消えてしまいそうな微笑み。
「……教えて。貴方は……何をするつもりなの?」
真っ直ぐに彼を見つめたままそう問い掛けると、彼は私の頬から手を離し、そして静かに背を向けた。