鬼守の巫女
第五十七章 揺れる心

言い表せない不安に瞳を揺らしながら、少し距離を取る様に朧源の後を付いて行く。

屋敷の中に上がり、廊下を進んで行くと、ある部屋の前で朧源は足を止めた。

……ここは……私の部屋。

朧源が見覚えのある襖を開くと、そこには馨さんの姿が見えた。

「お帰りなさいませ……凪様」

そう言って馨さんは私に向かって深々と頭を下げる。

「私はこれから色々とやる事があるのでな。巫女の相手は任せた」

朧源はそう言うと静かに廊下の先へと消えて行った。
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