鬼守の巫女
「しかしそれでも守らねばならないモノもあります。この一族だけでは無い。この国に生きる全てのモノの未来が私達に掛かっている」
「……だから私は魏戎達と手を組んだ。結界を壊しても鬼は人間を襲ったりしな……」
「何故あの鬼が約束を守ると言い切れるのですか?」
馨さんは私の言葉を遮ってそう言うと、真っ直ぐに私を見つめた。
「約束したからですか?彼等が二度と人間を襲わないと貴女に誓ったからですか?」
「……そうだよ。私は信じてる。魏戎を……あの鬼達を」
その私の答えに馨さんは困った様に笑うと、そっと私の手を放した。