鬼守の巫女
第五十八章 夕闇の間
……日が暮れて行く。
偽りの空が赤く染まり、その先から音も無く闇が迫って来る。
すでに涙は涸れ、赤い空を仰いだまま、漠然とこの先の事を考えていた。
この部屋の外には一族の目が光り、この部屋から出る事は許されない。
……皆は……どうなったのだろうか。
馨さんは皆はすでに逃げたと言っていた。
誰も掴まっていないという事は……一旦皇町の外に逃げたのかもしれない。
……これからどうなるのだろうか。
この部屋に囚われ、石も全て奪い返されてしまった今の私には……結界を壊す事も出来ない。