鬼守の巫女

「……朧源……様」

女の人が震える声で小さく目の前の少年の名を呼ぶ。

「散れ。目障りだ」

その少年の呟きと共に、男達は深々と頭を下げると、足早にその場を去って行った。

「お前も小金井家に戻れ。昇馬の手当てはこちらで請け負おう」

「……はい」

少年のその言葉に、女の人は不服そうに眉を顰めながらも、小さく頭を下げその場から離れて行った。
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