鬼守の巫女
「……巫女様は本当に戻られるのでしょうか」
傍に立っていた黒髪の少年はそう呟くと、窺う様に着物の少年を見つめた。
その問いに着物の少年は少し悲しそうに笑ってそっと空を仰ぐ。
抜ける様な青い空に眩い太陽が光り、その中で着物の少年は静かに目を閉じると小さく口を開いた。
「……戻るさ。それが……運命なのだから」
目を閉じたまま着物の少年はそう呟くと、そっと目を開く。
「……昇馬……稔」
「……はい」
着物の少年の呼び掛けに、二人が少し緊張した様に返事を返す。