鬼守の巫女

「……お、狼?」

ゴクリと息を呑んでそう呟くと、彼女はコクコクと頷いて返す。

「この首輪に月が付いている方が《レイ》で、こっちの太陽が付いている方が《ルイ》です」

「……へ、へぇ」

少女の説明に気の抜けた返事を返すと、少女はまた可笑しそうにクスクスと笑った。

「この子達は危害を加えたりしませんよ。ましてや鬼守の巫女様になんて」

「……貴女もここの人なんですか?」

クスクスと笑い続ける少女に問いかけると、私の前に座っていた犬……いや、狼は少女の左右にちょこんと腰を下ろした。
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