鬼守の巫女
「……知っているか?鬼にも《心》がある。誰かを愛し、慈しむことが出来る生き物だと」
「……え?」
着物の少年の呟きに、二人は小さく声を漏らし首を傾げる。
「しかし私はもう選んでしまった。どんなに深い罪に濡れ、どんなに多くのモノに恨まれたとしても……私はこの世界を守る……と。その為ならどんな犠牲も厭わない。いつか私は本当の……『鬼』になってしまうのだろう」
「……朧源様」
二人が小さく着物の少年の名を呼ぶと、着物の少年は優しく笑って二人の頭を撫でた。
「いつかお前達も……私に失望し、憎む時が来るのかもしれないな」
そう言って着物の少年は自嘲気味に笑うと、そのまま二人から離れて行った。