鬼守の巫女

「……夜が来ます。貴女の……運命の夜が」

彩乃さんのその呟きと共に、赤い空は瞬く間に黒く染まり、そしてどこまでも深い闇が迫って来る。

「……支度は出来たか?」

そう廊下から問い掛けられ、それに彩乃さんが小さく答えると、そっと襖が開かれる。

そこに立っていた男はニヤリと不敵な笑みを浮かべ……そっと手を差し伸べた。

「さぁ……行こうか。全ての始まりの地へ」

朧源のその囁きに導かれる様に、彼の元へと歩き出す。

その時、彼が何をしたいのか、ほんの少しだけ……分かった様な気がした。
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