鬼守の巫女

「……これでいい。これで……いいんだ」

魏戎はそう言うと流れ続ける私の涙を指で拭う。

その彼の手をギュッと強く握り締めると、彼は優しい笑みを浮かべた。

その周りでは皆が悲しそうに瞳を揺らしながら、私達の姿を見つめている。

彼の愛しい温もりを惜しむ様に、私の手は彼の手を握り締めたまま放さない。
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