鬼守の巫女
『……お前は甘い。そんな事ではいずれ失う事になるぞ。せっかく手に入れた……この安息の地すらもな』
魏戎はそう言って呆れたように笑うと、そっと魏罫の手を振り払う。
『人もよく知れば可愛いものだよ。弱く儚いが……だからこそ美しい』
『……お前の考えには付いていけないな』
魏罫の呟きに魏戎は少し不機嫌そうにそう答えると、そのままその場から離れて行ってしまった。
一人残された魏罫は小さく溜息を吐くと、そっと空を仰ぐ。
『……私は信じてみたいんだよ。……人と鬼とは共に生きられる。……そんな儚い夢を』
魏罫のその悲しい呟きと共に、その光景が見えなくなる。
「……これは……」
小さく声を漏らし、目の前の彼女を見つめる。