鬼守の巫女
《これは遠い、遠い過去の記憶。悲しい、悲しい過去の記憶》
彼女はそう言うと、また白い空間に向けて指を差した。
そっと視線を向けると、そこには焼ける様な赤い空が広がっている。
そしてその夕日に照らし出される光景に……声を失った。
焼ける様な空の下に、断続的に誰かの悲鳴が響く。
その声の主は幼い小さな体から溢れる様に血を流し、憎悪の籠った瞳で目の前の人間達を見つめていた。
銀色の髪をどこからか吹く冷たい風が撫ぜ、苦痛の涙の溢れる赤い瞳がユラユラと揺れる。
……子供の……鬼。
数え切れないほどの小さな鬼達が地面に転がされ、そして……禍々しい武器を持った人間達の手により傷付けられている。