鬼守の巫女

男の手が大きな棒を幼いその体に振り下ろすと、劈く様な悲鳴と共に辺りに鈍い打音が響く。

子鬼は苦しそうに顔を歪め、迫り来る死の瞬間に怯える様に赤い瞳を揺らした。

『これであの鬼が現れるはずだ。この森に住み着くなんて忌々しい鬼だ。深い森に隠れ中々姿を現さない』

そう言って男達は苛立ったように小さく舌打ちをすると、地面でピクピクと体を震わせる子鬼を力いっぱい踏みつけた。

子鬼の口からまた甲高い悲鳴が漏れ、それは深い森へとまるで誰かを呼ぶかの様に響き渡る。
< 861 / 912 >

この作品をシェア

pagetop