鬼守の巫女

「……魏……戎……さま」

子鬼の一人が小さく……彼の名を呼ぶ。

「そうだよ!もっと呼べ。お前達のご主人様をな!!」

男達はゲラゲラと哀れな子鬼達を嘲笑い、そして子鬼の体に無慈悲な攻撃を繰り返す。

「……たす……け……て」

擦れ聞き取る事すら困難なその呟きに、胸が抉られる様に痛んだ。

……どうして……こんな……

ギュッと強く拳を握り締めたその時、夕焼けの空の下に二つの影が見える。

それは静かにゆっくりと子鬼達の元へと向かってきた。
< 863 / 912 >

この作品をシェア

pagetop