鬼守の巫女

『……これが……お前の選んだ結果だ』

すでに動かなくなった子鬼の髪をそっと撫で、魏戎が小さく呟く。

それに魏罫は何も答えないまま、ただ茫然とその場に立ち尽くしていた。

『……赦さない。俺は絶対に……赦さない』

魏戎はそれだけ呟くと、静かに歩き始める。

『待て!!魏戎!!どこに行くつもりだ!!』

その魏罫に呼び掛けに魏戎はそっと振り返る。

『俺は決して人間を赦さない。全てを……壊してやるんだよ』

そう言って魏戎はクスクスと笑うと、次の瞬間、彼の姿は見えなくなる。

『……魏戎』

その魏罫の悲しい呼び掛けに答える者は誰もいない。

そしてその孤独な姿と共に、また目の前の光景は消えていった。
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