鬼守の巫女

「……魏戎」

そう小さく彼の名を呼んで、そっと顔を上げた。

「もう一度ここで誓って。……私を絶対に裏切らないと」

そう言って真っ直ぐに彼の赤い瞳を見つめると、彼は驚いた様に目を見開く。

しかしすぐに真剣な顔をすると、深く頷き私の手をギュッと握り締めた。

「俺の全てを掛けて誓おう。……俺は決してお前を裏切らない。……約束しただろう?」

そう言って魏戎はクスリと笑うと私に向かって小指を立てる。

「……そうだね。約束したね」

そう答え、そっと指を絡める。

「……もしも裏切ったら、自縛霊にでも何でもなって呪ってやるんだから」

そう言ってニヤリと笑って見せると、魏戎は優しく笑って深く頷いた。
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