鬼守の巫女
「……交渉……決裂だな」
後ろから朧源の呟きが聞こえる。
朧源を見つめたままそっと立ち上がると、ゴシゴシと腕で涙を拭う。
「ごめんね……朧源。それでも私……諦めきれない」
そう小さく呟くと、朧源は少し切なそうに瞳を揺らして私を見つめる。
「貴方は前に言った。……私の言う事は綺麗事ばかりの偽善だって。それでもね……やっぱり思ってしまう」
そう言って深く深呼吸をすると、グッと強く拳を握り締める。
「救えるモノ全てを救いたい!!鬼も一族も私自身も!!それに朧源……貴方だって!!」
「……凪」
私のその言葉に、朧源は小さく私の名を呼んた。
「だから私、諦めないよ!!絶対に諦めない!!」
そう言い切ってニッコリと笑って見せると、朧源は茫然と私を見つめる。