鬼守の巫女

「ど、どうすんだよ!?なんかヤバくない!?」

火伏さんのその問いに魏戎は苦しそうに表情を曇らせると、俯いてしまった。

『……柳の結界を……私は守る…………戒律を乱す者……決して赦さない……赦さない……赦さない!!』

その叫びと共に、魏罫の瞳が真っ直ぐに朧源を見つめた。

「お兄様!!お下がり下さい!!」

「……朧源様!!」

少し遠くに離れていた馨さんと彩乃さんが必死に朧源を呼ぶが、朧源は迫り来る禍々しい鬼を見つめたまま動かない。

「……朧源様!!お逃げ下さい!!」

その土室さんの叫びにも朧源は答えず、ただ静かに鬼を見つめているだけだった。
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