鬼守の巫女
「……これが報いならば……私はそれを受けよう」
朧源はそう言って自嘲気味に笑うと、全てを諦めた様にそっと目を閉じた。
その瞬間、足が動き出す。
「……凪!?」
その皆の呼び掛けも無視して走り続け、そして今正に朧源に襲いかかろうとしている鬼の前に立ちはだかった。
両手を大きく広げ、襲い来る恐怖に打ち勝つように、強く唇を噛み締める。
すると私の姿を見た鬼は大きく目を見開き、赤い瞳をユラユラと困惑した様に揺らした。
「……な、何を……」
「ふざけないで!!」
急に飛び出してきた私の姿に、驚いた様に朧源が声を漏らすが、それを遮って力いっぱい叫ぶ。