鬼守の巫女
「鬼守の巫女……何故こんな所に?」
どうやら男は私に問いかけているみたいだけど、私には状況がよく呑み込めない。
「その……おにもりのみこ……って、私?」
そう言って自分を指差して見せると、男は少し眉を顰めて首を傾げた。
「お前以外に誰がいる」
男はそう答えると、不思議そう私を見つめた。
「俺はずっとお前を探していた。お前に会える日をどんなに待ち望んだ事だろうか」
「……へ?」
まるで愛の告白の様なクサい台詞を男が吐き、思わず気の抜けた声を漏らした。
……何か……本気でヤバい人かも。
ヘラっと引き攣る笑みを浮かべたまま、さっき見た変質者注意のポスターを思い出す。