鬼守の巫女

「このビルが建っている街の名前。この街に住んでるのは殆どが一族の人間だ。学校、病院、警察、消防署。全部、一族の人間が働いている。つまりその街でだけは、お前は普通の生活が出来る。映画も見れるしカラオケもある。買い物も出来るし、プールも公園も運動場だってある。この街の中だけでは巫女も自由なんだよ」

彼のその言葉に、ポカンと口を開いた。

……街全体が一族の物。

その現実に眩暈がする。

彼等はこの国でどれほどの力を持っているのだろうか。

世間一般の人々には何も知らされず、警察の中にまで介入出来る権力。
< 98 / 912 >

この作品をシェア

pagetop