恋の旋律
♪空人♪
ダダダッ!
思わず駆け出してしまった。
あの場に居たら、泣いちまいそうだったから。
(あーぁ!!)
壁にもたれ掛かり、込み上げてくるアツいモノをグッと堪えるため、上を向いた。
「はぁっ…」
俺はダメな奴だ。
自分の気持ちを心に無理矢理突っ込んだ。
でも入りきらないこの気持ち...。
だって広季まで田渕を好きなんてさ~…。
他の奴なら正々堂々とライバル宣言出来たのによ~。
よりによって、広季なんて…。
これじゃ応援するしかないし…。
まぁでも広季と田渕がくっつけば俺の田渕への気持ちも、きっといつか消えるだろうし…。
ツウッと頬を伝った一筋の涙を俺は拭って、教室へ戻った。
でもそこは俺にとって居心地の悪い雰囲気になっていた。