恋の旋律
俺らは田渕と有沢の元に行った。
「…有沢」
渋川は呟いた。
有沢は泣き腫らした顔でこっちを向いた。
田渕はそっと背中を押した。
「……渋川に言ったら?」
田渕は頭を撫でながら言った。
「…うん」
有沢は渋川の元へ歩み寄った。
「行こ?」
田渕は俺の耳元で囁いた。
「あぁ」
気を遣ってその場を離れた。
人影が少ない所まで来て俺は田渕を抱きしめた。
「たっ高梨ッ…」
田渕はわたわたと焦った。
「バカッ…俺以外の男に抱かれてんな」
俺は腕の力を強めた。
「ごめんね…あまりにも突然だったから…」
田渕は俺の後ろに手を回してギュッとして、顔を埋めた。
「なんで渋川…」
田渕は呟いた。
「可愛いからだろ
それに性格いいしな
俺が惚れるくらいだぞ」
「そんなことないよぉ」
田渕は頬を赤く染めて上目遣いをした。