恋の旋律
保健室に行く途中、由菜は力を振り絞って話してくれた。
「…和斗…と柑乃ちゃ…んに襲われ…たの…
『殺されたく…なかったら高梨…と別れて…俺と付き合…え』って…和斗に言わ…れて…」
今朝の事を聞くと、
突然腕を引っ張られて家の間に連れ込まれ
殴られて蹴られて挙げ句にナイフで切られ…
そしてさっきの台詞を吐き捨てて消えたと言う。
「確実に計画的犯行…」
「……別れなきゃ…いけなくなるのかな…」
由菜は泣き出した。
「大丈夫だよ…」
「うちが…殺されてもいい…けど…広季が殺されるのは嫌だっ……」
「………由菜」
保健室に着いた。
手当ての間俺は由菜を励ましていた。
不運なのは今はもう6月。夏服だから肌の露出も多いし、薄いからたくさん切られていたということ。
「許せねぇ…あいつら」
俺は悔しかった。
由菜が襲われたのに近くに居てやれなくて…。
助けてやれなくて……。