恋の旋律



「じゃあね」


「うん」



俺は由菜を家まで送って、足早に家路を歩いた。


あと少しで家という所で物音がした。



ガサガサッ



「広季くん…」


「…池野
…和斗」


池野と和斗が俺の前に出て来た。



「俺らを警戒してるね
まぁ当たり前か♪あんなに由菜ちゃん窶れてるんだもんね…ゔっ!」



「いい加減にしな。なにが目的だよ」


俺は和斗の胸倉を掴んだ。


「広季と由菜を別れさせるためよ」


「……名前で呼ぶな、キモ女」


「デカイ口叩けんのも今のうちだから」



その隙に和斗は俺の手を振り払い、何処かへ消えた。



「由菜ちゃんとの関係も終わりよ、これからはうちと深い関係になるの」



「お前となんか関係もちたくねぇよ」


「ふん」


そういって池野は俺の手足を縛った。


「なっ…!」


そこに由菜が無理矢理和斗に連れてこられた。


由菜の家に和斗は行っていたのだ。


「触んないでッ!」


由菜は懸命に離れようとしたが離れない。



「お前ッ由菜に触んな!」


「身動きが取れない奴に言われたくないね
お前の前で由菜ちゃんとキスだって出来るさ」


「ふざけないで!あんたとなんかキスしたくない!」


由菜はビシッと言い放った。


「ふーん…なら…これでどう?」



俺の首に池野がナイフを突き付けた。



尖端が少し食い込んでいる。



「……!」


「ナイフって言っても小型包丁だから広季の首だって撥ねられるわよ」


「やめっ…!」



「なら…
由菜?今すぐ広季と別れてこの場で俺にキスして?
そうしないと広季は死ぬ」


和斗は由菜の顔に手を触れた。


「………!」


由菜は目を見開いて固まっていた。




広季Side終わり




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