恋の旋律



部活の後片付け。



「渋川ッ髪にゴミ付いとるよ?」


有沢は手を伸ばしてゴミを取ってくれた。


「サンキュー」


「渋川の髪サラサラ~由菜ちゃんと似た髪質だね」


「そうなのか?」


「うん、まぁ由菜ちゃんの方が細くてねこっ毛だけどね」


「ふぅーん…有沢も髪質良さそうだよな」


「えぇ~?そうかな~」


有沢は照れたように髪をいじりだした。



「広季ッゴム返してよ!」


田渕が怒鳴った。


「由菜下ろしてると可愛いんだもん~」


「可愛くないっ返してよ!」


動く度に髪の毛が靡いて綺麗だった。



「俺もあんなふうに靡いてるのか?」


ボソッと呟いたつもりだったんだけど有沢に聞こえてたらしく、


「うん、渋川髪の毛長いから意外と靡いてるよ」


と普通に言った。



「まぢで?」


「うんっだっ!」


「わっごめん美咲ιぶつかったι」


「大丈夫だよ!てか一旦ゴム貸そうか?」


「ありがとぉ☆助かる☆」


「有沢優しいな~」


俺が言ったら有沢は顔を火照らせて

「そうかなぁ?」


と言った。



なぜかその姿が愛おしかった。




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