白黒プリンスと囚われのメイドさま

 彼女が俺たちに水とお絞りを持って戻って来た。

 「バイトは忙しい?パンダ」

 「うん…まあ~」

 パンダと聞けば俺の体は無意識に反応する。

 「……」

 確かに亜子よりも…可愛い…。

 ビンボーでなければ…相手してやってもいいのに…。

 「お絞りです…ど~ぞ」

 彼女が笑顔で俺に渡す。

 「ありがとう…」

 彼女の繕う笑顔は単なる営業スマイルだけど…俺は一瞬、ドキリとした。

 「ごゆっくりど~ぞ!」

 彼女は踵を返して、厨房に戻る。

 「パンダ…ここの店では人気あるらしいわ~。パンダを目当てに来る…オトコも多いとか…」

 「……ふうん~」


 俺は興味ない振りして…亜子の言葉に相槌。

 パンダと名前がつくあらゆる物を俺はコレクションしていた。


 あいつもパンダ…。


 「…蓮さま…彼女も…コレクションに加えますか?」



 隣に座る咲弥がタイミングよく囁く。
 
< 12 / 263 >

この作品をシェア

pagetop