白黒プリンスと囚われのメイドさま

 翌日の昼過ぎにガッコを早退。


 亜子は俺のことをひどく心配していたが…そんなのはお構いなし。


 「急げ!!咲弥」


 俺は後部座席で運転する咲弥に命令。


 「!!!?」


 車は急停止。

 俺の体は一瞬、前に投げ出され…背凭れに背中を押し付けられた。

 「赤信号です…シートベルトはキチンと着用して下さい…蓮さま」

 「……」


 俺は渋々とシートベルトを着用。


 赤信号で停車した隙に俺は咲弥の用意した変装グッズを手に取る。


 変なボサボサの黒髪に丸い銀縁メガネ。


 「これで…マジで俺だってわからないか?咲弥…昨日の亜子のツレにさ~」


 俺はボサ髪とメガネを付け、咲弥に念を押す。


 「わからないと思います…美形の蓮さまのお顔は…全く見えませんから」


 咲弥のお墨付きなら安心だ。

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