白黒プリンスと囚われのメイドさま

 「……ちょっと休憩」


 ワルツって優雅に見えて…実はけっこう…体力を使う。


 日ごろから運動不足の私は疲れていた。


 ワゴンに置いていたグラスの水を神さん、ガブ飲み。


 私も喉が渇いていたので、釣られて水を飲む。


 「……明日はメイクの勉強に華道と茶道らしい」


 「えっ!!!?」

 「蓮と結婚すんのイヤになった?」



 「そんなことは…」

 こんなに勉強することがあるなんて思いもよらなかった。


 普通の家庭で育った私に果たして…蓮さまの奥さまが務まるか…少し不安と焦
りが・・・心の片隅に積もってゆく。

 
 「……スキだけでは如月家には嫁げない…」

 「蓮さん?」

 「……外でタバコ吸って来る」


 広間に私を残して、神さんは部屋を出て行った。
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