白黒プリンスと囚われのメイドさま

 まるで別人の私が鏡の中に居る。

 まるで二人は魔法使い。

 私は見事に姫に変身したシンデレラ。

 「入ってもいいか?」

 蓮さまの声。

 「お入り下さいませ~蓮さま」

 ユリさんが扉を開けた。

 タキシード姿の蓮さまが入って来た。

 蓮さまもまた…カッコイイ!!

 いつも垂らしてる前髪をムースで固め、右流し。

 品のいい額とキレイに整った眉毛が露になっていた。

 「……いい出来だ…下がっていいぞ~二人とも」

 『はい』

 と二人は声を揃え、私を置き、出てゆく。

 「ち、ちょっと!!?」

 「…メイドさまが…見事に化けたな~」

 「……」

 蓮さまは私をジッと間近で見つめる。
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