白黒プリンスと囚われのメイドさま

 本邸の大広間で蓮さまの17歳の誕生日パーティが盛大に行われた。

 誕生日のお祝いと同時に私との婚約発表もなされた。

 皆、私との婚約も祝福してくれているように見えるけど…ただ一人だけ違った。

 パーティに亜子も出席していた。

 「久しぶりね…パンダ」

 「…亜子…」

 「…パンダと言うな…こいつはいずれ、如月の姓になる…万田ではなくなる」

 隣に立つ蓮さまが私たちの挨拶に水を差した。

 亜子とは別れたことは聞いていた。

 「……蓮君…」

 「…馴れ馴れしいぞ…」

 「私は今でも…」

 亜子は蓮さまに熱い視線を送っていた。

 「川本さん…」

 私たちの元に…銀縁のメガネをかけた男性が来た。

 「彼女はあなたの中学の同級生だったらしいですが…あまり失礼な態度は取ら
れない方がよろしいですよ」

 「……」

 亜子は何も言わず…踵を返す。



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