白黒プリンスと囚われのメイドさま

 「私じゃない…私じゃないから…」

 まるで自分に言い聞かせるような口振り。

 「川本?」

 俺は彼女の腕を掴んだ。

 美紗緒さんは階段から落ちたが…執事の咲弥が庇い、無傷だったらしい。


 その代わり、庇った咲弥が右腕に怪我をした。


 俺は自分の住む邸宅に川本を連れ込んだ。

 川本は落ち着きを取り戻したが…依然、沈黙。

 頑なに唇を噤む。

 「……如月先輩…」

 長い間、続いた沈黙がようやく破られた。


 「どうした…何があった?川本」

 「…私…蓮君が…ホントにスキだったの…」
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