白黒プリンスと囚われのメイドさま

 咲弥とこうして深夜に酒を飲むなんて、初めてのこと。


 「今夜はどうした?」

 「……徹さまの溺死事故について…詳しく知りたい…」


 咲弥はグラスの中のワインを見つめ、真顔で俺に問いかける。

 「…蓮さまの執事として…知っておいた方がいいとかと思って…」


 「……」


 咲弥の声は真剣になるとワントーン下がる。


 低い声音が…俺の耳奥に響く。

 「……警察が動いているのは…裏で…如月家を失墜させようと企む…徳川家が絡んでいると柚木さんが言っていた」


 「!!?また…どうして??」

 「それは分からない…」


 「……」

 俺は額を手で押さえた。

 「もう~酔ったのか?神」


 俺を心配げに咲弥が俺の顔を覗く。
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