白黒プリンスと囚われのメイドさま

 「咲弥ぁ~!!!?」

 「……旦那さまが言うには…首謀者は亡き先代の旦那さまだとおしゃっていました。
体が弱く…おたふく風邪まで煩った徹さまは…後継者は無理だと判断されたでしょう。
充さまに理人さまに家督を譲るとそそのかし、事故に見せかけて殺させた」


 「……」


 「俺の本名は藤代拓斗(フジシロタクト)…。咲弥はホスト時代の源氏名です。
イギリスの執事養成学校に入る為にホストしながら金を貯めました。今年30歳に
なります」

 「……」


 咲弥は初めて俺に素性を明かした。



 「俺の兄貴は刑事で邸宅内の湖で溺死しました。たぶん…それも充さまの仕業
です。私だって…真実知った以上…黙っていられません」


 咲弥の瞳は憎悪に満ちていた。


 こんなに黒い咲弥は初めて……。


 
< 192 / 263 >

この作品をシェア

pagetop