白黒プリンスと囚われのメイドさま

 俺は……咲弥に何も言い返せない…。



 俺は…亜子を傷つけた…。



 理人に責められ、初めて自分の愚かさに気付かされた。



 亜子だけじゃない…俺はたくさんの女を傷つけている…。



 自分だけ…幸せになろうなんて…虫のいい話なのかもしれない…。



 「……」


 考え込む俺を尻目に…咲弥はボストンバックのチャックを閉める。

 「……蓮さまは…先ほど言った言葉は冗談です。蓮さまが美紗緒さまを真剣に
思われていることは私がいちばん…分かっています。でもあなた方は結ばれない
運命です…。それは変わりありません」


< 194 / 263 >

この作品をシェア

pagetop