白黒プリンスと囚われのメイドさま
「咲弥…!?」
「蓮さまにはさんざん…扱き使われましたが…
こんなにも人に頼りにされたことは
ありません。もともとは…兄貴の死に疑問を抱き、
復讐の為に…蓮さまの執事にな
りました。如月家の内情を知れば知るほど…蓮さまに同情する自分が居ました」
「だったらこれからも俺のそばに居てくれ!!咲弥」
そう思うなら…そばに居て欲しい!!
お前は俺の如月家で信用できるたった一人の執事…。
「それは出来ません…」
咲弥はあっさりと俺の頼みを却下。
「……どうして?これは主の命令だと言ってもか?」
私の主は父上だと返されるのがオチだと思いながらも、俺は咲弥を行かせま
いと粘る。
「……同情する以上にあなたを憎んでいるんですよ。蓮さま」
俺は…その一言で俺と咲弥の過ごした思い出がバーンと大きな音を立てて、崩れた。
咲弥が俺を…憎んでいる…!!?
「……」
俺には一度も見せたことがない咲弥の涙が見えた。
「…親は二人とも俺が6歳で事故死。俺は15歳年の離れた兄貴に育てられたようなもの…兄貴は結婚も決まっていた。溺死したのはそんな矢先の話だった」