白黒プリンスと囚われのメイドさま
咲弥の涙。
普段はあまり表情を出さない…ロボットのような咲弥。
そんな咲弥が感情を剥き出して…泣いている…。
俺は咲弥の憎しみ、悲しみの深さを感じ取る。
俺には…咲弥を止めることは出来なかった。
咲弥は茫然と立ち尽くす俺の前を通り過ぎてゆく。
「……咲弥…今まで…ご苦労だった」
咲弥は涙を堪え、俺に声を振り絞り返す。
「…蓮さまもお元気で…」
それが俺と咲弥が交わした最後の言葉。
ホントに…俺はお前は迷惑ばかりかけた…。
出会った当時…俺は15歳。
自分以外の人間を嫌い、蔑み、苛めてばかりいた。
そんな時にお前が俺の新しい執事としてやって来た。