白黒プリンスと囚われのメイドさま
 
 俺は柚木に叩かれた頬を押さえる。

 「咲弥だって俺がどんなに我侭を言っても手はあげなかった」

 「真相を知りたくて…咲弥はガマンにガマンを重ねていたのさ」

 俺の隣に座る神が呟く。

 「……」

 「……話は終わった…蓮、神下がっていいぞ」

 父上はいきなり、話を終わらせる。

 「…充もお前も顔を上げろ。お前の処分は追って連絡する」

 ずっと額を絨毯に擦り付けていた充叔父様が顔を上げた。

 瞳は涙で充血、鼻の下の鼻水でグチュグチュ。

 「兄…上」

「神お前を尋ねて…またケーサツが来るだろう…しかし…真相を話すのはもう少し
時間を延ばしてくれ」

 「父上はまだ隠蔽されるおつもりですか?」

 俺が再び、吼える。

 殺人まで如月家の存亡ために隠そうとするなんて…俺は許せない!!

 「……私は何を言われても構わない!しかし…無関係のお前や神、理人たちが背負うにはあまりにもリスクが大きい!」
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