白黒プリンスと囚われのメイドさま

 美紗緒の紺のブレザー姿。

 思わず、胸が何かに貫かれたような感覚に襲われる。


 俺は初めて見る…美紗緒の制服姿に…ときめいてしまった。


 美紗緒が箱舟を出てから一度も会うことがなかった。



 俺たちは「ロミオとジュリエット」で決して叶わぬ仲。


 「如月君…来てたんだ」

 亜子に如月君なんて呼ばれると何だか違和感を感じる。


 「…今日から復帰らしい」

 隣の比呂が口を挟む。

 美紗緒は何も言わず…笑顔を浮かべるだけ。

 「……編入生って君か?」

 「え、あ…」

 「俺は如月蓮…よろしく」

 「徳川…美紗緒です」

 まるで初対面の挨拶を交わし、微笑み合う俺たち。


 こうしてまた…そばに居られるだけでも…素直にウレシイと思える。

 お前の笑顔を見られるのなら…俺は…それだけで満足だ。


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