白黒プリンスと囚われのメイドさま

 「……」

 美紗緒は徳川家の令嬢。

 セレブの御曹司が数多く通うこのガッコ。

 当主である徳川直尋氏は婿養子候補を探すべく、美紗緒を編入させたらしい。

 婿養子となれば…後継者である御曹司たちは除外される。

 それでも…けっこう候補は多い!!?

 自分からアピールする連中が後を絶たない。

休み時間になると…美紗緒を訪ねて他のクラスの男子たちがやって来る。


 その中でも断っているのに執拗に付きまとう男が居るらしい。


 「だから…お付き合い出来ません」

 人気のない踊り場に響く美紗緒の声。

 「…好きな男はいないんでしょ?付き合ってよ~美紗緒ちゃん」

 馴れ馴れしく美紗緒を呼ぶ低い声。

 影で聞いていた俺はその声にキレた。

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