白黒プリンスと囚われのメイドさま

 「……」

 ようやく二人の時間。

 俺たちは日本庭園を散歩。

 池には蓮の葉が浮き、時折…大きな錦鯉が姿を現す。

 「……蓮はホントに後継者にならないの?」

 「ならない…俺はお前の婿養子になる」

 「……」
 
 「如月ではなくなるが…蓮は蓮だ」

 「蓮?」

 「……俺とお前が一緒になるには…こうするしかないと咲弥に言われた…。今度は
お前が俺に囚われるのではなく…俺がお前に囚われるんだ」

 「……」

 「……俺と結婚してくれ…美紗緒」

 「蓮…」

 美紗緒の二つの瞳には大粒の涙が溢れる。

 「はい…」

 口元を押さえ…美紗緒は涙声で俺に返事。


 俺も…瞳が熱くなる…。
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