白黒プリンスと囚われのメイドさま

 御曹司も別の意味で色々と大変なんだ…。


 私たちのテーブルに見た目も芸術な料理が運ばれて来る。


 私はまず並べられたナイフとフォークの数に躊躇する。


 順番は何処からかもさっぱり分からない。

 「手前のナイフとフォークから…お使い下さい…」

 いつの間にか…咲弥さんが私の後ろに控えていた。

 私に助け船を出してくれる。

 「ありがとうございます」

 「……」

 如月君は何も言わず黙々と食べ続ける。


 私は咲弥さんの教わったとおり…手前のナイフとフォークから使い始める。


 「……」

 如月君は食べ終わったのか、ナプキンで口を拭いていた。


 「……咲弥もやはり女には優しいな…」



 「女性は…愛でる者です…美紗緒さんはまだ…花で例えるなら蕾です。
今のうちに慈しみ…育てたら…キレイな花を咲かせます」

 真顔で咲弥さんは呟く。

 如月君は大笑い。


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