白黒プリンスと囚われのメイドさま

 俺はいつの間にかソファーで昼寝。


 アイスコーヒーも半分飲み残し、レモンパイには手をつけなかった。


 「!?」


 俺は目を覚まして、体を起こす。

 「ただいま…戻りました…蓮さま」

 神が何も言わず入って来た。


 「あいつは?」

 「美紗緒ちゃん?あ~厨房だ」

 「そうか…」

 「美味そう~」

 神は俺の前のソファーを座り、何の言葉もなく、レモンパイを手掴みで一口。


 「……あいつのお母さんって癌だったな…」

 「余命…半年だろ?」

 神は氷が全部溶けて、すっかり味の薄まったアイスコーヒーを飲む。
< 94 / 263 >

この作品をシェア

pagetop