夜空に咲く僕たちの願い




“契約書

天体観測のことは他の人に言わないこと。
両親もダメ。友達もダメ。
俊介、渓斗、瑠花だけの秘密にすること。
これを守れなかった者は絶交とする”




「…サイン、しようぜ?」




下手くそな字で書かれた契約書に、俺たちはサインをした。
誰にも言わない。
俺たちの秘密…。



それから夕陽が沈むまで天体観測の計画を練った。
渓斗が教えてくれた流れ星の意味を瑠花も聞いて、俺と同じ反応をしていた。


第1回目の天体観測は、今日の夜。
場所は渓斗しか知らない。
時間は夜の10時。
待ち合わせ場所はマンションの下。
俺たちは同じマンションに住んでいる。
偶然にも同じ階で、しかも隣同士だ。
左から瑠花の家、渓斗の家、俺の家と並んでいる。
俺たちの両親が学生時代からの友人らしい。
瑠花の父親と渓斗の母親、そして俺の母親は大学時代の仲間だって母さんから昔に聞いた。

俺には父さんがいない。
昔病死したんだって。
俺が産まれる少し前だったみたいだ。
もういない父親に会いたいなんて思ったことはない。


なぜって?


そんなの…

死んでしまったから。




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