夜空に咲く僕たちの願い
青虫が蛹になって綺麗な蝶になるのにはどれくらいかかるのだろう。
きっとそれぞれスピードがあるのだと思う。
俺も青虫だった。
でも蝶になるまではあっという間だった…。
雅也くんのあの発言から一週間が経った頃。
入学してから一週間すぎた。
学校にも慣れ毎日楽しく過ごしていた。
雅也くんの存在を除いては。
「おーはよー!!」
元気に挨拶をしながら入ってきたのは翔太だ。
俺はグラウンドを見つめながら翔太が話しかけるのを待つ。
「俊介くん、おはよう!見てみて!今日は熊太郎と一緒だよ」
そう言って俺の目の前で手を広げる。
視界に映ったのは翔太の手にはめられた毛糸の手袋だった。
それが熊の形をしている。
まるでパペット人形だ。
翔太らしい手袋だった。
「もう春なのにまだ手袋してんの?」
「甘いね、俊介くん。これここを引っ張ると指が自由なるんだ」
得意げに熊の鼻部分を掴むと翔太の言った通り、五本の指が顔を出した。