夜空に咲く僕たちの願い
誰にも取られたくない。
誰のものにもなって欲しくない。
俺は瑠花と恋人になりたいわけじゃないんだ。
ただ、傍にいたいだけなんだ。
そして瑠花も俺と同じ気持ちだったらいいなって思うだけ。
ただ…それだけだったのに。
いつか神様に会えたら俺は言ってやるんだ。
「あなたは知っていたのに教えてくれなかったのでしょう?」って。
そしたら神様はなんて答えるかな。
マンションに着いたときにはもうアイスは無かった。
残ったのは脱け殻になった木の棒だけ。
道にポイなんてできないし、家に着くまでこいつを持っていなくちゃならない。
これが嫌だから渓斗はきっと手で食べられるモナカを選んだんだ。
本当に要領がいい奴だな。
俺たちの住む7階のマンションに着き、それぞれの家の前に立つ。
俺は左を向き、瑠花と渓斗と顔を見た。
「また、あとでな?」
「俊介、瑠花遅れるなよ?」
「お菓子は瑠花に任せて!」
俺は最後に笑顔を向けてドアノブを回した。
もし、この日天体観測をしていなかったらあの願いは叶わないままだっただろう。