夜空に咲く僕たちの願い


「俺に礼するなら、ちゃんと俺の近くで生きていろよ。俺の目の届く範囲内でな。辛くなったらいつでも言え。飛んでってやる」




「宇宙でも?」




「宇宙は無理。その時は自分で何とかして」





渓斗は俺の答えに笑っていた。何か久しぶりに渓斗の笑顔を見た気がする。
やっぱり渓斗の笑顔はカッコいい。
ずっと笑っていて欲しいけど性格がクールな渓斗には無理かな。




「ありがとな、俊介。悩むのは今日までにするよ」




「あぁ。あと“死にたい”って思うのもな」




俺は立ち上がり渓斗を見下ろす。
渓斗の瞳を見ると少しだけ色がつき輝いて見えた。




「じゃ俺帰るわ!また明日な!」




「気をつけて帰れよ」




「30秒で帰れるから」





最後に笑顔を見せると渓斗も笑ってくれた。
少しは楽になったかな。
ちょっとは役に立てたかな。




俺は渓斗の部屋から出ていき、自分の家に向かった。




俺さ、決めたよ。




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