夜空に咲く僕たちの願い


心を撃ち抜かれたのは突然だった。
その形は昔の形には戻らないだろう。
翔太の心の形はどんな形だったのかな。
カエルの形?クマの形?
なんてね、そんなわけないか。

粉々にしたのは俺だった。
好奇心から起きた事件だった。
まさかこんなことになるなんて思ってもいなくて。

そこに残るのは翔太のワックスの香りだけだった。
その香りは甘酸っぱいリンゴの香り。
恋もこんな匂いなのかな…
そう思ったら心の中で泣いている自分がいた。




冷めきった空気の中で静かに呼吸をする。
最初に口を開いたのは瑠花だった。
きっとこの状態に耐えられなかったのだろう。
その声はあまりにも小さくて、さらに静けさが増した気がした。




「……なんで…満里奈と先生が?二人は…付き合ってるの?」




瑠花の言葉の中には俺の聞きたかったことが詰まっていた。

翔太、ごめんな。
俺が悪かったんだ。



もう…粉々になった心は元に戻らないかな?




< 195 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop