夜空に咲く僕たちの願い


可能性はゼロに近いかもしれない。
もし昨日、渓斗がいた場所が病院だとしたら。
俺は知りたかった。
渓斗の心の闇を。



すっかり冷えきったカフェオレを飲み干し、翔太に500円を渡す。




「俺ちょっと行くとこあるから行くな?今日はマジでありがとう。感謝してる」




「全然いいから気にしないで。また学校でね」




俺はダウンコートを羽織り、外に出た。
暖房のついた店内から外に出ると身震いがした。
こういう温度差が体調不良に繋がると、看護師の母親が言っていたのを思い出した。


近くのバス停まで走る。
ちょうどその頃前方からバスが走って来ていた。
ナイスタイミング。
こんな寒い中何十分も待ちたくない。



バスが目の前で停まり、震える体を抱えて乗り込んだ。
電光掲示板を見ると、総合病院は二つ目のバス停にあった。



誰かに嘘だと。
渓斗はいませんように、と。



震える体を抱えながら祈った。



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